相続
相続が発生したら、まず何をしたら良いのでしょう?
相続が発生した場合の主な手続きは下記となります。
相続開始(被相続人の死亡を知る)
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7日以内 市区町村役場へ死亡届の提出
遺言書がある場合は検認の手続き⇒亡くなった方の住所地の家庭裁判所へ
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3ヶ月以内 家庭裁判所へ相続放棄・限定承認の申し立て
相続する財産はプラスとは限りません。債務の方が多い場合、相続人は相続放棄や限定承認(財産を相殺し、プラスの財産のみ相続)の手続きをとることでマイナスの財産を引き継がなくても良くなります。
ただし、相続放棄は一人でもできますが、限定承認は財産目録を作成した上で相続人全員で申し立てしなければなりません。
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4ヶ月以内 被相続人の所得税準確定申告
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10ヶ月以内 相続税の申告・納付
できればこの期限までに遺産分割協議を済ませ遺産分割協議書を作成すべきです。
遺産分割協議書自体に作成義務や作成期限はありませんが、相続税の申告や相続した不動産の登記等、様々な手続きで遺産分割協議書の提出を求められます。
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3年以内 生命保険金の請求
相続人の範囲は法律で定められており、相続の順位は
①配偶者、子
②直系尊属(父母、祖父祖母等被相続人(亡くなった方)より上の世代)
③兄弟姉妹となります。
被相続人(亡くなった方)が離婚されている場合は、前妻との子も当然相続人となります。なお内縁の配偶者は相続人にはなりません。
相続人を確定するためには、被相続人の出生から死亡まで全ての戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本を収集しなくてはなりません。
*除籍謄本とは:既にその戸籍に誰もいなくなった場合の謄本
*改製原戸籍謄本とは:戸籍謄本は省令によって書き替えられることがあり、その書き替えられる前のものを「改製原戸籍」と言います。主に昭和32年法務省令の夫婦単位の戸籍編成と、平成6年法務省令の戸籍コンピュータ化によるものがあります。
*戸籍の附票とは:その戸籍に在籍している間の住民票の移動履歴を記したもの。転居している場合の住所確認に使用します。
戸籍謄本は古いものになりますと記載が大変分かりづらいものもあります。
また相続人にあたる方が亡くなっている場合はその方の出生から死亡までの戸籍謄本も収集する必要があり、慣れないと大変な作業となります。
また、相続人が未成年もしくは判断能力がない方の場合(認知症、精神障がい者、知的障がい者)後見人をつける必要があります。
当事務所では、様々な手続きが円滑に進むようサポートいたします。
「相続税がかかるのでは?」とご心配な方もご相談ください。税理士事務所と連携してサポートいたします。
遺言
ご自分の死後、ご遺族が遺産相続のことで悩むことがないよう、遺言書を作成しておくことは非常に大切です。
特に「お子様のいらっしゃらないご夫婦」「離婚されていて前妻・前夫との間にお子様がいる方」「推定相続人が不仲である」「財産がほとんど不動産である」方は、よりトラブルに発展しやすいので、公正証書遺言を作成することをお勧めします。
他にも「会社を経営している」「財産を特定の団体に寄付したい」「相続人ではない方に遺贈したい」「ペットの世話を特定の方に頼みたい」というような場合も遺言書は効果的です。
一般的な遺言方式は以下の3つがあります。メリットとデメリットを挙げておきます。
自筆証書遺言 ご自分で手書きする方式です。
全文自筆のうえ日付、署名、押印が必要です。
証人不要で費用もかからず手軽に作成でき、遺言書の存在や内容を秘密にできますが
書き方によっては無効となってしまいますし、保管中偽造・変造・隠匿・破棄の恐れがあります。
また家庭裁判所の検認に時間がかかります。
*検認:相続人に対して遺言書の形状や状態を明らかにし、偽造や変造を防止する手続き。
公正証書遺言 公証役場で公証人に作成してもらう方式です。
遺言者が口述するので字が書けなくても作成でき、原本が公証役場で保管されるので変造・破棄の心配がありません。
また形式的に無効となる心配がなく、検認もいりません。
2名以上の証人が必要となるので遺言書の存在を秘密にすることはできず、財産により費用もかかりますが、最も安心確実な遺言方式です。
秘密証書遺言 ご自分で作成した遺言書を封印し、公証人に署名・捺印してもらうことで存在を証明してもらう方式です。
本文はパソコンや代筆でもかまいません(署名は直筆)。遺言の内容を秘密にできます。
保管はご自分でしますので、紛失や発見されない恐れがあり、公証人への手数料もかかります。
また、遺言書を作成する際には、「遺留分」「特別受益」「寄与分」を考慮し、トラブルを防ぐ配慮も必要です。
遺留分 相続財産のうち、兄弟姉妹を除いた相続人が必ずもらえる一定額
特別受益 相続人が、被相続人の生前に受け取った高額な財産。
寄与分 相続人が、被相続人の財産形成に寄与した額
このように遺言書の作成には注意すべき点がいくつかあります。せっかく作成した遺言書が新たな火種となることのないよう、作成をお考えの方はぜ専門家にご相談下さい。
成年後見
成年後見制度は、認知症になられた高齢者や知的障がい者、精神障がい者など判断能力が不十分となった方を保護するための制度です。
成年後見人が、預貯金等の管理による財産の保護と、介護・福祉サービスなどの利用契約をご本人に代わって行う身上監護をすることにより、ご本人が不利益を被らないように保護します。
既に判断能力が不十分になられた方が利用する法定後見制度と、今はまだしっかりしているが将来のために今から契約をしておく任意後見制度があります。
詳しい内容についてお知りになりたい方はお気軽にお問合わせ下さい。成年後見制度の理解と手続きについてご支援いたします。
*一般社団法人コスモス成年後見サポートセンター埼玉県支部会員